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2020/07/24
ピロリ菌について②  〜基礎知識編 その2〜 

目次

ピロリ菌って悪い菌ですか?

ピロリ菌と胃癌との関係は?

ピロリ菌を除菌することで、胃癌の予防になりますか?

ピロリ菌と萎縮性胃炎(ピロリ感染胃炎)の関係は??

ピロリ菌と胃潰瘍・十二指腸潰瘍の関係は?

ピロリ菌と胃ポリープ

ピロリ菌と胃MALTリンパ腫

ピロリ菌と消化器以外の疾患との関係は?

ピロリ菌感染との関連が推測されている疾患

 

 

  • ピロリ菌って悪い菌ですか??

この質問の答えはYes、悪い菌」です。

どうしてそう言えるのかを解説していきます。

大雑把に答えると、ピロリ菌は胃粘膜に感染して、胃炎を生じさせます。胃粘膜の慢性炎症を背景として、萎縮性胃炎、消化性潰瘍、胃癌、胃MALTリンパ腫、胃過形成性ポリープなど多くの消化器疾患を発症させます

ピロリ菌に感染していない人に胃癌が発症するのは稀な一方、ピロリ菌感染がある人は胃癌が発症しやすいとされています。

さらにピロリ菌感染は胃酸分泌能など胃機能の面にも影響を与え、胃内環境の変化をもたらしています。他にも特発性血小板減少性紫斑病や小児の鉄欠乏性貧血などの消化器以外の疾患にも関与していることが証明されています。

ピロリ菌に感染していると胃癌になるリスクが高くなるので内視鏡検査を受けて、ピロリ菌を除菌することをお勧めしています

 

 

ここからは、かなり専門的なことになるので、興味がある方は読んでいただき、難しいと感じた方は次の項目まで読み飛ばして下さい。

〜基礎知識編その1〜でも少し書きましたが、まずはピロリ菌が胃粘膜上皮に“軽く”くっつきます。次に“小さな注射器”のような装置(Cag装置)で強固にくっつきます。この“Cag”に関してさらに詳しく説明します。

ある細菌の中には病原性を発揮するものがあり、この遺伝子群をPAI(Pathogenicity Island)と読んでいます。ピロリ菌では病原因子の一つであるCagAの遺伝子がこのPAI内に位置しており、cagPAIと呼ばれています。

このcagPAIを有する菌株の感染が、潰瘍や胃癌と関連することが報告されています。実はこの菌株が人種によって異なります。欧米ではcagPAIを有する株は

60%ですが、日本ではほとんどの株(東アジア型)がcagPAIを持っていると言われており、日本のピロリ菌は病原性が強いと言われています。

沖縄は胃癌の発症が最も低いのですが、これにはピロリ菌の菌株の違いが関与していると考えられています。

 

  • ピロリ菌と胃癌との関係は?

ピロリ感染が持続すると、ピロリ菌から産生される病原因子や多数の浸潤炎症細胞から産生される炎症性サイトカイン等によって、胃上皮細胞の破壊と再生が繰り返され、組織構築の異常がおこり、結果として胃粘膜の萎縮が生じると推定されています。

通常、萎縮が生じるには十数年の感染期間が必要とされ、また萎縮の進行のスピードや程度には個人差があることが知られています。

一般的に日本人は胃粘膜萎縮の進行が早く、30歳を過ぎた感染者の大部分に病理学的な萎縮が見られます。これは胃癌のリスクの高い胃粘膜です。

日本で、ピロリ菌未感染者に比べた現感染者の胃癌リスクは15倍以上とされています。

ただ、重要なことですが、萎縮性胃炎のある胃粘膜から必ず胃癌が発生するわけではなく、大多数の感染者は萎縮性胃炎があっても、胃癌を発生することはありません。大まかな試算としては感染した人の8%程度が胃癌になると推測されています。

 

  • ピロリ菌を除菌することで、胃癌の予防になりますか?

A、「はい、できます」

除菌によって、胃癌リスクは低下することは研究で報告されてきました。

萎縮が進行する前の早い時期に除菌治療を行うほど、胃癌予防効果が高いことが示されています。

ただし、除菌によって完全に胃癌の発生を抑制することは不可能であり、除菌後にも胃癌リスクが継続します。そのために除菌すれば終わりではなく、除菌後も内視鏡検査を中心とした画像検査を定期的に続けることが大切です。

 

  • ピロリ菌と萎縮性胃炎(ピロリ感染胃炎)の関係は??

日本における萎縮性胃炎のほとんどはピロリ菌感染によるピロリ感染胃炎です。

萎縮性胃炎は胃癌の発生母地になります。

日本の研究や海外の試験で、ピロリ菌を除菌することにより胃粘膜萎縮は「改善する」もしくは「抑制される」という結果で一致しています。

ピロリ菌を除菌することで組織学的にも胃の炎症所見は改善することが報告されています。

従って、ピロリ菌感染胃炎に対しては、胃粘膜萎縮の改善効果、胃癌の発症予防効果も期待して除菌治療が強く勧められています

 

  • ピロリ菌と胃潰瘍・十二指腸潰瘍の関係は?

様々な研究で、ピロリ菌は胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因になることは明らかにされてきました。

ピロリ菌陽性の胃潰瘍・十二指腸潰瘍は除菌治療によって再発が抑制されること、出血などの合併症が減少することが多数報告されています。

過去に胃潰瘍や十二指腸潰瘍になられた方は一度ピロリ菌感染の有無を確認して、陽性であれば除菌治療を行いましょう

 

  • ピロリ菌と胃ポリープ

胃ポリープといっても今回説明するのは胃過形成ポリープというものです。

胃ポリープは胃腺腫を除くと、胃過形成性ポリープと胃底腺ポリープに大別されます。過形成性ポリープは内視鏡検査を行っていると度々出会う疾患です。

過形成性ポリープは自然退縮や消失はしないとされています。

20mmを超える場合は癌化の可能性があることが報告されています。癌化する頻度は1.54.5%程度です。

過形成性ポリープを認めた場合には、ピロリ菌感染は76100%と高率です。

ピロリ菌除菌治療を行うことで、7080%程度の症例で、消失もしくは縮小することが報告されており、治療の第一選択として勧められています。

過形成性ポリープはピロリ胃炎を伴っていることから、除菌治療も保険適応があります。

 

  • ピロリ菌と胃MALTリンパ腫

MALTリンパ腫といって粘膜関連リンパ組織に由来する予後良好な低悪性度リンパ腫があります。MALTリンパ腫は様々な臓器で発症するのですが、胃は最も多く見られる臓器です。胃MALTリンパ腫の約90%はピロリ菌感染による慢性胃炎を基盤に発生します。胃MALTリンパ腫の6090%は除菌により、完全寛解に至ることが明らかにされており、除菌治療が第一選択の治療法となっています。胃MALTリンパ腫に対する除菌治療は、2010年6月に保険適応が許可されています。

 

  • ピロリ菌と消化器以外の疾患との関係は?

・特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は血小板に対する自己抗体によって、血小板が破壊されて減少してしまう自己免疫性疾患です。これまでITPの治療にはステロイドや免疫抑制剤の投与あるいは、脾臓摘出術などが行われてきました。

1998年にITPに対してピロリ菌除菌が有効ではないかという報告が出されてきました。その後日本では、ピロリ菌陽性のITPに対しては除菌によって56割の症例で血小板が増加することがわかってきました。ただし、ピロリ菌陰性のITPに対しては除菌しても血小板増加はないと報告されています。

ITP治療ガイドラインでも、ピロリ菌陽性例では治療の第一選択として除菌治療が推奨されています。ちなみに2010年6月に、ITPに対するピロリ菌除菌療法は保険適応となりました。

 

  • ピロリ菌感染との関連が推測されている疾患

まだ十分なエビデンスはありませんが、慢性蕁麻疹、鉄欠乏性貧血、胃びまん性大細胞性B細胞性リンパ腫(DLBCL)、直腸MALTリンパ腫、パーキンソン症候群、アルツハイマー病、糖尿病などの疾患とも関わりがある可能性が指摘されています。

 

まとめ

ピロリ菌は胃癌、萎縮性胃炎(いわゆる慢性胃炎)、胃・十二指腸潰瘍、胃ポリープなど多くの疾患と関係しています。除菌により疾患の治療や予防になるため、ピロリ菌感染がある方は治療を検討しましょう。

次回はピロリ菌感染に関する検査に関して、書かせていただく予定です。

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