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2021/04/28
〜胃カメラを行った時によく出会う疾患 バレット食道〜

前回に続いて、胃カメラを行った時によく出会う病気があるので、その解説の続きを行います。

今回は「バレット食道」についてお話します。逆流性食道炎に比べるとあまり聞き慣れない名前ではないでしょうか。ただ、実際の診療でも度々出会う疾患なので今回説明することにしました。

当院では胃カメラの結果は説明の時に印刷してお渡ししていますので所見を見直していただけると興味が出てくるかもしれません。

目次

●バレット食道とは?

●バレット食道と食道がんの関係は?

●バレット食道の症状は?

●バレット食道の診断は?

●バレット食道の治療は?

 

 バレット食道とは?

基本的に食道と胃の組織は異なるのですが、バレット食道は食道の粘膜(健康な状態の食道は“扁平上皮”といわれる組織です)なのに、“円柱上皮”と呼ばれる胃の粘膜と同じ様な組織に置き換わる病気です。これは胃酸が食道に逆流することによって、食道部分が酸にさらされてその結果として発症するとされています。

胃食道逆流症の患者の年間12%で発症するとされています。

 バレット食道は長さ(範囲)で大きく2種類に分けられます。3cm以上の長い範囲にバレット食道があるものをLSBE(Long Segment Barrett’s Esophagus)3cm未満の短いものをSSBE(Short Segment Barrett’s Esophagus)といいます。日本ではSSBELSBEよりも圧倒的に多いです。

 

バレット食道と食道がんの関係は?

バレット食道の患者の年間0.12〜0.6%でバレット腺癌(食道がん)が発症するとされています。そこまで多くはない印象ですね。上記でも述べたSSBEに比べてLSBEではより発がんのリスクが高いとされています。

日本で「食道がん」というと90%以上が“扁平上皮癌”と言ってお酒やタバコが原因でおこるタイプで、バレット腺癌とは異なります。

バレット腺癌とは欧米人に多いタイプで日本人には比較的珍しいとされていますが、年々増加傾向にあるとされています。

バレット腺癌の発癌リスクとしては、白人、男性、高齢、慢性的な胃食道逆流、肥満、喫煙などが挙げられます。

大切なことは、バレット食道の診断がついた場合は、定期的に内視鏡検査を行って食道がんになっていないか確認することが大切です。バレット食道と診断されたからといって慌てる必要はありません

 

バレット食道の症状は?

粘膜の組織変化そのものによる症状はありません。ただし、背景に胃食道逆流があるために、胸焼けや呑酸症状が見られることはあります。

 

バレット食道の診断は?

胃カメラ検査で診断します。バレット食道の病変は胃から連続的に生じるので、胃と食道の連結部の観察が重要になります。バレット食道は円柱上皮からdysplasia(がんになる前の状態)そして腺癌と変化をします。こうした組織学的な状態を確認するために病変部から生検を行うこともあります。

胸焼けなどの胃食道逆流症状がある方はまず胃カメラ検査を受けるようにして下さい。

 

バレット食道の治療は?

バレット食道は胃食道逆流を背景として発症するために、胃食道逆流の治療について考える必要があります。胃酸分泌抑制剤であるプロトンポンプ阻害薬(Proton Pump Inhibitor : PPI)による治療が一般的です。他にはH2ブロッカー(胃酸分泌抑制作用)、胃粘膜保護薬等が用いられます。

ただバレット食道そのものに対する治療で有効なものはありません

Dysplasiaやバレット腺癌の発生がある場合には、内視鏡での切除や手術などが検討されます。日本でのバレット腺癌の頻度は、食道がん全体から見ると極めて珍しいとされています。疑わしい場合は専門施設での治療が望ましいと思われます。

 

 

まとめ

●バレット食道とは食道の粘膜が胃の粘膜と同じ様な組織に置き換わる病気です。これは胃酸が食道に逆流することによって発症するとされている。

●バレット食道の患者の年間0.12〜0.6%でバレット腺癌(食道がん)が発症するとされている。バレット食道の診断がついた場合は、定期的に内視鏡検査を行って食道がんになっていないか確認することが大切です。バレット食道と診断されたからといって慌てる必要はないです。

●バレット食道の診断は胃カメラ検査で行う。

●バレット食道そのものに対する治療で有効なものはありません

バレット食道は胃食道逆流を背景として発症するために、胃食道逆流の治療を行うことがあり、胃酸分泌抑制剤による治療が一般的です。

 

文責:副院長 下河辺嗣人(消化器病専門医、消化器内視鏡学会専門医)

 

 

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