今回は大腸癌検診(便潜血検査)で陽性となった場合に行う、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)に関して書いていこうかと思います。ホームページにも大腸カメラのことは少し記載していますが、より詳しく説明していこうと思います。
前半は大腸カメラの一般的な話、後半はより具体的な話をしようと思います。
目次
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)ってどんな検査?
先端に高性能のCCDカメラが付いたボールペンほどの太さ(直径約12mm)で軟らかいゴムチューブを、横になった状態から肛門(お尻の穴)から挿入します。大腸全体と小腸の一部をモニターに直接映し出して観察する検査です。この検査で、大腸癌や大腸ポリープ、炎症性腸疾患、直腸の病変などを見つけることができます。
また必要な場合は組織の一部を取ってきたり(生検)、ポリープを切除することもできます。
検査中は意識下で行うこともできますし、最近では苦しくないように鎮静剤や鎮痛剤を使用して、眠りながらおこなうこともあります。
大腸カメラはどこで受けるのがいい?
病院やクリニック、検診センターなどで検査を受けることができます。
みなさんがイメージするのはいわゆる病院でしょうか?設備が整った大学病院や大病院がいいと思われる方もいれば評判の良いクリニックで受けたいと思う方など人によって様々だと思います。
病院のメリットとしては最先端の治療を行うことができたり、緊急時の対応力などは優れていると思います。逆にデメリットとしては、検査までの待ち時間が長い(検査まで1ヶ月待ちなどはよくあると思います)、検査を行う医師を選べない、または検査医と説明する医師が違う、などがあげられます。
クリニックでは、病院とは逆で、比較的短時間で検査が受けられるように配慮したり、検査施行医が説明を行うことも多いと思います。しかし、体に負担のかかる入院が必要な処置などは難しいかもしれません。
最新の設備があるかどうかは病院でもクリニックでもそれぞれの施設によるので変わりはないでしょう。
結果的にはどちらも良い面と悪い面があるので、自分にあった場所で検査を受けるのがいいと思います。まずはかかりつけ医に相談されてはどうでしょうか。
大腸カメラにかかる費用は?
まず前提として検査が「保険診療の対象となる場合」としてお話をします。
検査が保険診療の対象になるのは、患者さんの症状に対して医師が内視鏡検査が必要と判断した場合です。便潜血陽性なのは当然保険診療の適応になります。また以前にポリープを切除したことがあり定期的なチェックを指示されている場合、有症状(血便や腹痛、便秘)の場合も保険診療になることが多いです。
逆に自費診療になる場合は、特に症状はないけど年齢が上がってきているので一応検査しておきたい場合、家族に大腸がんの方がいて何となく心配な場合等でしょうか。
今書いたのはあくまで目安なのでご自身が保険診療になるのか、自費診療になるのかは医師に確認が必要です。
検査費用は、前投薬の有無、生検による病理診断があるかどうか、ポリープ切除を行うかなどで大きく異なります。
①特に異常が見つからず、観察のみで生検やポリープ切除を行わない場合、健康保険3割の自己負担の方で5000円〜10000円程度はかかることが多いです。
②次に炎症や潰瘍などが見つかり、組織を一部採取して顕微鏡で詳しく調べる検査(観察+生検)では、自己負担3割で大体10000円〜20000円程度。
③切除した方がいいポリープが見つかって、ポリープ切除を行った場合は、切除した部位やポリープの大きさによっても異なりますが大体20000円〜30000円程度のことが多いです。
再度記載しますが、これは3割負担の方の金額の目安です。(1割や2割負担の方はこれよりも安くなります。)
ちなみにですが、大腸ポリープ切除は「手術」として扱われており、生命保険などの疾病特約などをつけている方は手術代として保険金が出る場合があります。ご自分が入っている保険会社にご相談下さい。
大腸カメラは準備が大変?
大腸カメラを実際に体に入れるまでの準備は胃カメラよりも大変と思います。今までに大腸カメラをされたことがある方はよくわかると思います。極端に言えば胃カメラは検査を行う1食前の食事を抜けば検査は出来ます。大腸カメラはそうはいきません。準備をしないと大腸の中は便でいっぱいです。便でいっぱいの腸の中にカメラを入れても何も見えません。そのため腸の中の便を出して、腸の中をきれいにする必要があります。このことを「前処置」と言います。「前処置」がうまくいかずに便が残っていると病変の見落としにつながる恐れがあります。
大腸カメラを行うための準備(前処置)の流れ
前処置の方法は各病院によって異なりますので、当院の方法をご紹介します。
当院では検査前に一度受診いただき、医師による診察があります。その時に便秘の有無を確認し、強固な便秘がある方には5日前から便秘薬を飲んでいただきます。
検査日の数日前から消化に良い食事を食べていただきます。または「数日も食事内容を変えるのは大変」と言う方には、検査前日の昼・夕食はこちらで用意する検査食(インスタント食)を食べていただいています。
そして、検査前日の夜に下剤を飲んでいただきます。これは検査日に便を出しやすくするための薬です。
検査日は、朝から腸管洗浄剤という薬を飲んでいただきます。腸管洗浄剤とは体に吸収されずに飲んだ分がほとんど便として出てきます。そうすることで腸の中をきれいにすることができます。当院ではモビプレップという薬を使用しています。この粉薬を2Lの水に溶かします。その液体1Lと水またはお茶など500mlを交互にゆっくりと時間をかけて飲んでいきます。これが大変です。個人的には飲みやすいですが、この液体の味が合わない方もおられます。
脱水になってしまう可能性があるため水やお茶はモビプレップの半分量は必ず飲んでいただいています。
モビプレップを飲みはじめて、30分〜1時間くらいで便が出始めることが多いです。その後何回も排便をしていただくと便の形が無くなって、最終的には便にカスがなくなり尿のような黄色い水のようになります。これが腸の中がキレイになったサインであり、やっと検査ができる準備が整ったことになります。
腸がきれいになる時間は患者様によって様々です。1時間でキレイになる方もいれば4〜5時間かかる方もおられます。
当院ではこのモビプレップを自宅で飲んでいただくか、院内で飲んでいただくかは初めの受診の時に相談して決めています。初回の方や、高齢の方などは院内で飲んでいただくことが多いです。逆に何度も経験されていて、お家で飲むほうが都合のいい方もおられます。
当院で前処置を行う場合はスタッフが適宜、モビプレップを飲めているか、体調は悪くないか、便の状態などを確認させていただいています。自宅で飲まれる場合は、朝の指定された時間から飲み始めて、お昼くらいに来院いただき便の状態を確認していく手順になります。
今回はここまでです。次回は大腸内視鏡に関してのお話を続けます。
まとめ
・大腸カメラはCCDカメラが付いたスコープを肛門から挿入し、大腸全体と小腸の一部を観察する検査です。大腸癌や大腸ポリープ、炎症性腸疾患、直腸の病変などを見つけることができます。
・大腸カメラは病院や検診センター、クリニックなどで受けることが出来ます。自分にあった場所で検査を受けましょう。
・大腸カメラにかかる費用は、保険診療で3割負担の場合、観察のみで5000円〜10000円、ポリープ切除を行った場合は大体20000円〜30000円程度です。
・大腸カメラは「前処置」が必要。「前処置」は食事の変更と、腸管洗浄剤の内服があり、少し大変です。
文責 副院長 下河辺嗣人(消化器病専門医、消化器内視鏡学会専門医)
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