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今回のコラムからは大腸や大腸ポリープ、大腸癌に関してまたシリーズでお話していこうと思っています。現在では全何回になるかわかりませんが、お付き合い下さい。

目次

• 大腸ってどんな臓器？
• 大腸癌の現状
• 大腸癌の発症年齢は何歳くらい？
• 大腸腫瘍の好発部位はどこ？
• 大腸癌の危険因子と抑制因子は何か？
• 日本人における癌（大腸癌に関わらず）の要因は何でしょう？
• 自分でできる癌の予防は何でしょうか？

大腸ってどんな臓器？

大腸は、食道・胃・十二指腸・小腸に続く臓器です。長さは約1.5〜2m程度といわれています。

大腸といっても、細かく区分されていてそれぞれに名称がつけられています。

右下腹部に小腸との境である回盲弁（バウヒン弁）がある盲腸があり、そこから大腸が始まります。盲腸の次は結腸（結腸の中にも上行結腸・横行結腸・下行結腸、S状結腸に分かれます）があります。結腸は正面からみて時計周りにお腹を回って、最後は直腸と言われる部位があり、肛門につながります。

盲腸＋上行結腸＋横行結腸＋下行結腸＋S状結腸＝結腸

結腸＋直腸＝大腸　のイメージです。

大腸の働きとしては、主に小腸から送られてきた食べ物から水分を吸収して便を作ることです。食物が口から入り、便として排出されるまでの所要時間は約24〜72時間といわれています。直腸に便が移動すると便意を感じて、排便反射が起きて排便に至ります。

また近年、大腸菌や乳酸菌など100種類以上の腸内細菌が存在することも明らかにされ、食物繊維の分解や、病原体やウイルスなどの感染を予防する働きがあることもわかってきています。

大腸癌の現状

現在、１年間で何人くらいの人が大腸癌にかかっているでしょうか？？

実は、年間約15万人程度が罹患し、年間約５万人が死亡されます。

日本人の約10%が大腸癌になり、約5%が大腸癌で亡くなる計算です。

大腸癌の罹患率は男女合わせて一位です。つまり「現在日本人が最もかかる可能性が高い癌」が大腸癌です。

大腸癌での死亡数では、男性で3位、女性では1位となっています。

ちなみに癌全体でいうと年間約35万人が死亡されます。日本において、今話題の新型コロナ感染症で亡くなられた方が1000人程度であることを考えると非常に多い数字であることがわかります。

さらに理由はわかりませんが、最近特に女性の罹患者数が多くなってきており、2018年には女性のがん死亡数は大腸癌が最も多いという結果があります。30〜40歳代の患者さんも増えてきています。

大腸癌の発症年齢は何歳くらい？

イメージとしては50歳以上と考えて下さい。ただ最近は40歳代から患者数が増え始めており若い患者さんも少なくありません。

大腸腫瘍の好発部位はどこ？

大腸癌の発生部位としては直腸 約21%、直腸S状結腸部 約8%、S状結腸 約30％と直腸からS状結腸までで60%以上を占めています。

大腸癌の危険因子と抑制因子は何か？

危険因子として明らかになっているのは年齢(50歳以上)、大腸癌の家族歴です。また大腸癌発症リスクに関わる生活習慣に関しては、高カロリー摂取および肥満、加工肉の摂取、大量のアルコール摂取、喫煙、胆嚢摘出後などが報告されています。

逆に抑制因子としては、適度な運動習慣といわれています。

ちなみに日本人における癌（大腸癌に関わらず）の要因は何でしょう。

一番は喫煙です。次に感染症。例えばB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスによる肝癌やHPVによる子宮がん、ピロリ菌などによる胃癌などです。さらに過度の飲酒、塩分摂取、肥満、運動不足などがいわれています。ただ、もちろん原因不明なものも多くあります。

では自分でできる癌の予防は何でしょうか？

５つあります。①禁煙　②節酒　③運動習慣　④食生活の見直し　⑤適正体重を維持することです。

この５つのうち、５つすべてを見直すと男性で43％、女性で37％リスクが低下できるという報告があります。

逆をいうと、ご自身でここまで頑張って節制していても、癌になることは十分あるということです。

そこで医療者が介入する必要がでてきます。具体的には何をするのでしょうか？

答えの一つ目は検診ですね。次回、大腸癌検診に関して詳しく説明していきます。

まとめ

・大腸は食道・胃・十二指腸・小腸に続く臓器で、小腸から送られてきた食べ物から水分を吸収して便を作っている。

・大腸癌の患者さんの数は非常に多くなってきており、若い方にも発症する可能性がある。

・癌の予防として①禁煙　②節酒　③運動習慣　④食生活の見直し　⑤適正体重を維持することがある。

・しかし自分でできる予防を行っても癌になることはある。

文責　副院長　下河辺嗣人（消化器病専門医、消化器内視鏡学会専門医）